『すき家』異物混入で営業停止?飲食店に見る異物混入事案まとめ

世間を大きく騒がせた、牛丼チェーン店「すき家」における異物混入事例。飲食店では徹底的な衛生管理が求められます。

異物混入とは

飲食店で起こる異物混入事例は多岐に渡ります。毛髪をはじめとし、ハエやゴキブリなどといった虫、ガラス、金属など調理器具の破片の混入、手袋や絆創膏の破片、人の爪や歯などが挙げられます。

「すき家」の異物混入とは?

2025年初頭、牛丼チェーン「すき家」で複数の異物混入事件が発生し、消費者の間で大きな懸念が広がりました。

鳥取南吉方店での「みそ汁にネズミ混入」事件(2025年1月)

2025年1月21日、鳥取県の「すき家 鳥取南吉方店」で、みそ汁にネズミの死骸が混入していることが客の指摘で判明しました。​その際、従業員が目視で確認し、店舗は即日一時閉店となり、保健所への報告や店内の衛生対策が行われました。​しかし、公式からの発表は約2か月後の3月22日となり、SNSでの画像が拡散された後の対応となったため、情報公開の遅れに対する批判が集まりました。

昭島駅南店での「害虫混入」事件(2025年3月)

2025年3月28日、東京都昭島市の「すき家 昭島駅南店」で、客から提供された商品に害虫が混入していたとの連絡がありました。​店舗は即日営業を停止し、専門業者による駆除を実施しました。この事案を受け、すき家はショッピングセンター内など一部をのぞいた全国の店舗で3月31日から4月4日まで一時閉店し、衛生対策を強化しました。

このようにすき家では立て続けに異物が混入する事態が起こってしまい、全国の店舗を一時的に閉店することとなってしまったのです。

現在では、引き続き環境改善が必要である約170店舗を除き、営業を再開していますが、24時間営業は停止することになりました。

異物混入事案を受け、午前3時から4時までを清掃作業に充てることを決定しました。これにより、衛生環境の維持管理を徹底し、顧客に安心感を提供することに努めているのです。

料理に混入しやすいもの

まずはどのようなものが混入してしまうのかをみてみましょう。

毛髪の混入

調理スタッフの髪の毛が料理に混入してしまうケースは非常に多くみられます。

虫の混入

ハエやゴキブリなどの虫が厨房に侵入し、料理に混入してしまうケースもあります。

器具の破片の混入

調理器具(包丁、食器など)が破損し、破片が料理に混入してしまうケースもみられます。

調理スタッフの私物の混入

手袋や絆創膏の破片、人の爪や歯などが料理に混入してしまうといったこともあります。

その他

樹脂片、紙屑、金属片など、様々な異物が混入する可能性があります。

飲食店にみる異物混入事案

すき家のような異物混入事例は他の飲食店でもみられます。おもに近年報告されたものを紹介しますが、下記のような異物混入事例は過去にもさまざま起こっています。

丸亀製麺「シェイクうどん」にカエル混入(2023年)

2023年5月、丸亀製麺のテイクアウト商品「シェイクうどん」にカエルが混入していたとの報告がSNSで拡散されました。同社は生野菜の仕入先工場に立ち入り検査を実施し、当該商品の販売を一時中止しました。

居酒屋チェーンのもつ鍋に虫混入(2021年)

2021年11月、東京都内の大手居酒屋チェーンで提供されたもつ鍋に大量の小さな虫が混入していたとの投稿がSNSで拡散され、店舗の対応が批判を浴びました。本部は迅速に対応し、問題の店舗の衛生管理を見直しました。

寿司にプラスチック片混入(2021年)

スーパー内の寿司販売店で購入したにぎり寿司に、硬いプラスチック片が混入していた事例が報告されました。原因は、寿司種を保管するバットのフタが破損していたことでした。店舗はフタの材質を変更し、再発防止策を講じました。

パウンドケーキに脱酸素剤混入(2021年)

ある菓子店で販売された小豆パウンドケーキに、脱酸素剤が混入していた事例が報告されました。原因は、原材料の小豆に同梱されていた脱酸素剤が除去されずに混入したことでした。金属探知機の使用目的が適切でなかったことも一因とされています。

飲食店における異物混入が与える影響とは

飲食店における異物混入は、単なる「食品トラブル」では済まず、店舗経営や企業ブランドに深刻な影響を与える可能性があります。

顧客の信頼失墜

SNSでの拡散

近年はSNSによる画像や動画による影響が大きく、拡散されると一度に多くの人の目に触れることになります。企業全体の評判に大きなダメージを与えます。

心理的ショック

虫やネズミ、髪の毛、金属片などが料理に入っていた場合、利用者は強い嫌悪感や恐怖心を抱くことになるでしょう。

リピーターの低下

異物混入を経験した場合、店舗やブランドそのものの不信感につながります。結果再び利用しようという気持ちにならない可能性が高いです。

経営・売上への直接的影響

店舗の一時閉鎖

異物混入が報告されると、営業停止や一時閉店を余儀なくされる場合があります。

売上減少

一度でも話題になると、他店舗にも影響が波及し、売上が長期的に落ち込む恐れがあります。

賠償・返金対応

被害者への返金、見舞金、訴訟費用などの経済的負担も無視できません。

従業員・店舗運営への影響

モラルの低下

衛生問題が公になると、従業員の士気や働く意欲に悪影響を与えることがあります。

教育・再研修コスト

再発防止のために、スタッフの教育・マニュアル整備・管理体制の見直しなどの追加コストが発生します。

法的・行政上の問題

保健所による指導・処分

行政指導や営業停止命令、改善報告の提出を求められることがあります。

食品衛生法違反による罰則

重篤な健康被害が出た場合は、企業や責任者に対して法的責任が問われる可能性もあります。

企業全体への波及効果(特にチェーン店)

他店舗への不信感

1店舗で発生した異物混入でも、全店に「不潔な印象」が波及します。

株価や投資家の評価にも影響

上場企業の場合、株価下落や投資家からの信頼低下にもつながります。

まとめ

「すき家」による異物混入やその他の飲食店の事例をみてもわかるように、「たった1件」でも、飲食店にとっては致命傷になりかねません。徹底した衛生管理、早期の原因究明、迅速かつ誠実な対応、そして透明な情報開示が、顧客の信頼回復とブランド維持の鍵となります。