飲食店の換気扇ダクト清掃手順と注意点

飲食店の換気扇ダクトは、調理中に発生する煙、油、蒸気、臭い、熱気などを屋外へ排出するための排気システムの一部です。特に厨房には強力な換気が必要なため、換気扇とダクトを組み合わせて効果的に空気を循環させます。それらのダクトを清掃する手順と注意点を紹介します。

換気扇ダクトの役割

空気の清浄化調理時に発生する油煙や臭いを効果的に排出し、店内の空気を清潔に保つ役割があります。
温度管理厨房内の温度上昇を抑え、快適な作業環境を維持することにつながります。
防火対策油や汚れが蓄積しにくい構造にすることで、火災のリスクを軽減します。
法規制の遵守各自治体の消防法や建築基準法に基づき、適切な排気設備を設置する必要があります。

換気扇ダクトの種類

排気ダクト(排煙ダクト)調理時の煙や蒸気を外に排出します。ステンレス製やガルバリウム鋼板製が多くみられます。
給気ダクト(外気導入)店内の空気が負圧になりすぎないよう、新鮮な空気を取り込む。熱交換器付きのものもあります。
ダクトフード(フード設備)換気扇の上部に設置され、煙や油を効率的にキャッチします。グリスフィルターがついているタイプが多いです。

適切な管理とメンテナンス

換気扇ダクトは汚れが溜まりやすく、放置すると火災の原因になります。定期的な清掃・点検が必要です。

日常清掃グリスフィルターやフード部分の油汚れを拭き取りましょう。
定期清掃(1〜3ヶ月ごと)ダクト内部の点検・洗浄を行うようにしてください。
業者によるメンテナンス(年1回以上推奨)専門業者に依頼し、内部の徹底洗浄や劣化チェックを実施することをおすすめします。

飲食店のダクトを清掃するメリット

飲食店の厨房ダクトの清掃は重要です。ダクト内部の汚れを放置しておくと、事故や健康被害を引き起こす可能性があります。厨房ダクトを清掃するメリットを知っておきましょう。

衛生管理の向上

厨房ダクトに油や汚れが溜まると臭気が発生します。こうした汚れた空気は、人体に様々な害を及ぼすだけでなく、お客さんや近隣からのクレームにつながる可能性があります。またダクト内部の温度が高くない場所には、害虫が住みつくこともあるのです。ダクトを定期的に清掃して清潔に保つことで、予防できます。

店舗イメージの向上

ダクトの清掃がおこなわれていない場合、臭気だけでなく店内の壁や床、天井がべたつく原因にもなります。それらは飲食店の印象としてはあまりよくありません。清潔感のない店内は集客の妨げとなる可能性もあるため、ダクトの清掃は重要なのです。

節電・設備寿命の延長

ダクト内にほこりや油汚れがたまると、煙や熱気の循環が悪くなります。その結果、ダクトについているファンが負荷を受け、電気の使用量がぐっと増えてしまう傾向があります。またファンに汚れが付着すると、回転が悪くなり、結果的にファンを回転させるファンベルトにも負荷がかかります。ベルトに負荷がかかりすぎると、断裂の可能性もあるので注意が必要です。節電や設備の寿命を考慮すると、清掃は重要な要素なのです。

火災防止

ダクトに溜まった油やほこりに調理で使用した火が引火することがあります。内部で火災が発生すると大きな事故につながりかねません。そのため、東京消防庁によって、定期的な点検が推奨されています。ダクトを定期的に清掃して、引火する可能性のある油を除去しておくことで、火災発生のリスクを減らすことができます。

飲食店の換気扇ダクト清掃手順

自分で掃除する場合

  • 掃除機を使って、見えている範囲のゴミを吸い取ります。ヘッドをはずし細い筒型のブラシのついたノズルがあるといいでしょう。
  • 油汚れは、柔らかい布にアルカリ性や中性の洗剤を染み込ませ、直接拭き掃除します。ブラシなどで擦ってキレイにすることも可能です。

注意点とポイント

換気扇の電源は必ず切る

感電防止のため、ブレーカーをオフにする。

強すぎる洗剤の使用に注意

ダクトの材質を傷める可能性がある。

自己流でダクト内部まで清掃しない

専門業者に任せた方が安全かつ確実。

消防法・衛生管理基準を遵守する

クリーニング記録を残し、指導が入った際に対応できるようにする。

ダクト管は深追いすると道具が挟まって取れなくなったり、ダクト管がズレてしまうなどのトラブルが発生する可能性があります。自身で清掃するのは難しい部分といえます。ダクトの清掃は無理をせずに業者に依頼することも考慮しましょう。

業者による清掃

ダクトの主な清掃には「ダストストリーム工法」と「ダクトビート工法」といった2通りあります。飲食店では「ダストストリーム工法」が採用されることがおおくみられます。プロによる厨房排気ダクトの清掃は、いくつかの工程に分かれています。

事前準備・養生

厨房内の備品や床をシートで養生します。ダクトの清掃中に汚れや水滴が飛び散るため、それらから周りを防ぐためです。また、安全面を考慮して、ガスや電気系統は切っておきます。それらの事前準備と養生をおこなうことで清掃がスムーズとなります。

ホコリや汚れを落とす

室外の換気口に集塵機をセットし、室内から建物の外部に向かって、ダクト内にブラシを挿入します。内部に滞留した汚れを掻き落とし、汚れを除去します。

高圧洗浄・手作業での汚れの除去

高圧洗浄機を使用して油汚れを除去していきます。高圧洗浄機を使用することで頑固な汚れを取り除くことがかのうです。また、ダクトに付随するさまざまな部品は取り外して、手作業によって洗浄します。細かい部分までしっかり清掃することで、排気効率の改善となります。

仕上げ清掃

高圧洗浄が終わったら、排気ダクト内部の水分を拭き取り、乾燥させます。その後、取り外した部品を元の位置に戻し、正常に稼働するかチェックします。清掃の仕上げとして、養生シートを撤去し、厨房内を清掃します。

まとめ

飲食店のダクト清掃は専門的な知識や清掃方法を知らなければ、難しい作業となります。自分でおこなう場合には、破損などに細心の注意をはかりながらおこなわなければなりません。ダクトを適切に清掃するためにもプロ業者への依頼をおすすめします。清掃をおこなうことで店内の衛生環境はよくなり、集客しやすくなるでしょう。